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「アウシュビッツのお針子」ルーシー・アドリントン [本]

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すごい本だった。

びっしり文字ばかりで360ページ。
改行も余白も少なく、馴染みのない言語での人名と地名が次々出てきて「読み切れるか?」と思ったけれど、面白くてやめられず一気に読んでしまった。翻訳も素晴らしい。


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あのアウシュビンツ絶滅収容所の中に、所長ルドルフ・ヘスの妻が作ったファッションサロンがあり、ナチス高官の家族からの注文でドレス作成をしていたというノンフィクション。


収容所の囚人から略奪した資源(古着、靴、宝飾品、布地、なんでも)を使い、囚人であるユダヤ人女性の「お針子」たちが、アウシュビッツでドレスを作っていた?
あまりのシュールさ、グロテスクさに頭がクラクラしてくる。


著者はもともと服飾の専門家。
ナチス政権以前多くのユダヤ人がかかわつていた縫製や繊維の産業がどのようにしてユダヤ人から奪われたか、そして誰がそれを安価で手に入れたか。
強制収容されたユダヤ人の膨大な衣類がどのように「再利用」されたか。
ありとあらゆるあの時代の「服」にまつわるエピソードがぎっしり。こんな切り口があったのか…


服を奪うことは尊厳を奪うこと。服を脱がされ、裸を嘲笑され、次に与えられるのがサイズも合わず汚れて穴の空いた囚人服。
なにを着るかということが、いかにその人のアンデンティティを作っているか…それを知っているからこそナチスは「服」の力を利用したんだろうな。ナチスの軍服がああもカッコいいのは戦略なんだ。



ところで今の小学生や中学生、「アウシュビッツ」って知ってるのか…?

私は少女漫画誌にフツーに乗ってた戦争マンガで歴史を学んだ世代なので(学校じゃ近代史は学期の終わりなので駆け足で流すだけだった)、満州とかアウシュビッツも漫画に教えてもらったなあ。







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