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「70年目の告白〜毒とペン〜」 [本]

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高階良子先生の自伝長編漫画。
御年76歳とは到底思えないすさまじい描き込みに圧倒される。


噂には聞いていていたけれど、相当な覚悟で読み始めないと気力体力を持っていかれます。

私世代の人は「なかよし」時代の高階作品の洗礼を受けていると思うんですが、初めて読んだのは「黒とかげ」だったなあ。
原作はもちろん江戸川乱歩、殺人ありエロありグロあり、あれを「なかよし」で連載してたのか……。
これも乱歩原作の「血とばらの悪魔」、横溝正史原作の 「血まみれ観音」も面白かった。
忘れちゃいけない「地獄でメスが光る」は鉄壁。

実は「なかよし」以前も何作か読んでます。
両親を殺された少女の復讐劇「タ日の中のサキ」は今ドラマ化してもいいくらいだし、タイトル忘れたけど蝶を愛するあまり美しい人間を標本にしようとする少女の話も好きだった。

ボニータ時代は読んでいないのですがが、青年誌にもレディコミにも行かず、少女誌であれだけ長く巻頭を飾った漫画家って細川智栄子先生と高階良子先生しかいないんじゃなかろうか(秋田書店だからこそ、とも言えるな)。

伏字にはなっているものの、講談社時代のやばい話がバンバン出てくる。
私はコミックス派だったので当時の「なかよし」執筆者ってあまりわからないんですが(いがらし先生だけはわかる)…





そして母親の描写がすさまじい。

「墓場までもっていくつもりだった」という母との確執を、自分の体力の衰えを自覚する年齢となって「描くなら今しかない」と吐き出してしまいたくなったんでしょう。


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毒親、という概念が一般的になったのはここ数年のことなので、長い長い間ずっと「なぜ」と苦しんできたのだなあ……

描くこと、それが生きなおすこと。
自分の中にいる「子どもの自分」の声を聴くこと。

本当に、漫画に救われ漫画に生かされた天性の「漫画家」なのだと思います。


いや面白かった。
まさか令和になってから高階先生のコミックスを買うなんて思いませんでしたよ…










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