「生かされて」 イマキュレー・イリバギザ [本]
定期的に本の大量処分をするのですが、その後数年経ってから「あの本、また読みたい…」と思うことが何度かあり、入手できるものは買い直したりしています。
この本もその1冊。
あれ、こんなに厚かったっけ?
ルワンダ内戦の大虐殺(1994年4月7日 – 1994年7月15日)を生き延びた女性の手記です。
まだ30年も経ってない。
ルワンダの内戦は、NHKスペシャル「なぜ隣人を殺したか 〜ルワンダ虐殺と煽動ラジオ放送〜」があまりに衝撃で、その後いろいろ本を読むようになりました。
映画「ホテルルワンダ」も話題になりましたが、この本を読んでから見たのでよく理解できた。
ルワンダの内戦はまさにリアルデビルマン…あの漫画が現実になったらこんな地獄なのかと。条件が揃えば世界のどこででも起こることで、誰でも加害者にも被害者にもなる可能性があるんだな…
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私はカトリックの不良信者なんですが、一般的な日本人は宗教を持たないので、そういった人から「宗教やってるとなにかいいことあるの?」と、よく言われます(「やってる」って言い方、すげーな)。
宗教を信じている=なにかいいことがある … とでも???
普段神社なんか行かない人がお正月だけは行列を作って初詣に行ってお賽銭を投げるのは「お願いを叶えてもらうため」なんでしょうか。
だから100円より1000円のお賽銭のほうが大きなリターンを期待できると?
ある日空から神様が降りてきて、全てを解決してくれると?
病気が治ったり、受験に成功したり、宝くじが当たったり?
そんなわけないじゃん〜〜!!
神様に祈ったってお願いしたって、災害も戦争も起きるし新型コロナは消えないし病気だって治らない。
ではなぜ祈るのか?
それは「自分を強くするため」なんじゃないかと思ってる。
深い信仰が自分を強くする。
その強くなった自分が、自分を、周りを、救うんじゃないかな。
それを「神様に助けられた」というんじゃないかと思ってます。
自分を救えるのは自分だけなんですよ。
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この本の著者も、壁の向こうの殺戮者(ついこの前まで仲良かった隣人たち)の怒号を聞きながら、繰り返し繰り返し神に祈っている。
こんなにも酷い内戦を放置している国際社会を恨み、自分を殺そうとする隣人を憎み、もし自分に原爆を落とす力があるならこの国を燃やし尽くしたいと思い、自分の中にあるそういう怒りや憎しみを浄化するために祈り続ける。
…でも、祈る彼女にもう一つの声が囁くんです。
「なんで神様になんか頼むのさ。お前の中にだってあの殺人者たちと同じ憎しみがあるとは思わないか?神に対して、彼らが地獄に堕ちて、炎に焼かれるようにと祈ったんじゃないのか?」
その囁きに負けないためにできることといったらたったひとつ。
「祈ること」
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この本にはありとあらゆる哲学がぎっしり詰まってます。
中学生くらいに読めばきっと一生の宝になる。
いろんな年代の人に読んでほしい。
父と妹を失った34歳のぼくが、ルワンダ大虐殺を語り続ける意味
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